【弁護士監修】相続開始から完了までの流れを徹底解説(遺産分割協議編)

【記事監修】:弁護士 荒井和子
【所属事務所】弁護士法人エースパートナー法律事務所 

相続が開始したら、どのような流れでどんな手続きをすればいいのでしょうか。

必要な手続きである遺産分割協議の方法について、徹底解説します。

遺品整理・相続財産の調査を行う

まず、相続が開始したら、遺品の整理と相続財産の調査をしましょう。

遺品整理を行う理由

遺品整理をする理由としては、被相続人の私物に相続財産の対象となる遺品がある可能性もあるからです。

例えば、ダイヤモンドがついた指輪やネックレスなど、相続人も知らなかった高価な財産が出てくるかもしれません。

また、遺品の中に、遺言書の保管証や公正証書の謄本・自筆証書遺言・秘密証書遺言が見つかる可能性があります。

遺産分割が終わった後であっても、遺言書が発見されれば、遺言書の内容が優先されます。

そのため、遺産分割のやり直しを防止するために、あらかじめ、遺言書がないかを探しておくことが大事です。

相続財産の調査を行う理由

相続財産の調査を行う理由は、第一に、遺産分割協議後に新しく財産が発見された場合、話し合いのやり直しが発生する可能性があるからです。

新しい財産をのちに発見した場合でも、原則として遺産分割のやり直しまでは必要ありません。

新しい財産の分割先のみを別途検討することで足ります。

しかし、再度相続人間で話し合いをすることは億劫ですし、新たなトラブルが発生する可能性もあります。

そして、新たに発見された遺産の価値が高く、「もしもその遺産の存在が始めから判明していたら、以前の方法で遺産分割をしなかった」といえる場合には、遺産分割協議自体のやり直しもあり得ます。

第二に、相続税の支払いがある場合、故意でなくてもペナルティが課せられる可能性があります。

新しく財産が見つかった場合、「相続税申告書」を作り直して、修正申告をする必要があります。

その際に、延滞税や過少申告加算税を支払う必要があります。

遺産分割協議を行う

遺品整理や相続財産の調査が終わったら、いよいよ遺産分割協議をします。

相続人全員の同意を得ないと無効

遺産分割協議は、全員の同意を得ないと無効になります。

そのため、遺産分割方法に不服がある人が一人でもいれば、遺産分割協議は終了しません。

相続人全員が納得する方法で遺産分割を行うことが重要です。

遺産分割協議自体には期間の定めがない

遺産分割協議自体には期間の定めがありません。

もっとも、遺産分割が終わらなければ、不動産等の財産の処分もできませんし、相続税の申告もできません。

相続税の申告には期限があるので、これを過ぎると延滞税を支払う必要があります。

したがって、期限がないとしても遺産分割協議は早めに行いましょう。

配偶者居住権を利用するか決める場合もある

そして、遺産分割協議を早めに行う理由の一つとして、配偶者居住権を利用するか決めなければならないことも挙げられます。

配偶者居住権とは、被相続人の配偶者が、自宅などの不動産を相続しない場合であっても、以前と変わらずに居住し続けることができる権利のことです。

不動産の所有権と居住権を分けることができます。

配偶者居住権も相続税の対象となり、相続税は被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内に申告する必要があるため、早めに遺産分割協議をしましょう。

遺産分割協議を行うときの注意点

遺産分割協議をする際には、注意点がいくつかあります。

注意点①相続人の中に認知症の人がいたとき

相続人の中に認知症の人がいた時には、家庭裁判所に後見人を選任してもらう必要があります。

遺産分割協議は法律行為であり、意思能力が必要だからです。

そのため、後見人をつけずに、認知症の方が遺産分割協議に参加をすると、遺産分割協議は無効になってしまいます。

認知症に限らず、知的障害や精神障害を有する場合も、意思能力がないと判断される可能性があるため、注意が必要です。

注意点②相続人の中に未成年がいたとき

注意点2つ目は、相続人の中に未成年者がいた時です。

先述の通り、遺産分割協議は法律行為です。

したがって、親権者(基本的には両親)を代理人として、遺産分割協議を行うことになります。

しかし、親権者も同時に相続人となる場合、利益相反行為が生じる可能性があることから法定代理人にはなれません。その場合は、特別代理人の選任が必要になります。

注意点③遺産分割協議書は必ず作成すること

最後に、遺産分割協議書は必ず作成してください。

遺産分割協議書は、相続人全員の同意によって遺産分割協議が終結したという決定的な証拠です。

証拠がないと、後でトラブルが発生し、遺産分割の内容が覆されてしまう可能性もあります。

遺産分割後に行うべきこと

遺産分割を行なった後にも、行うべき手続きは多々あります。

銀行で被相続人の口座から預金を下ろす

一つは、銀行で被相続人の口座から預金を下ろすことです。

遺産分割が終了するまで、基本的に口座のお金を引き出すことはできません。

遺産分割協議が終了したら、相続したこと及び口座凍結解除を行いたい旨を、金融機関に申請しましょう。

取得した不動産・有価証券等の名義変更を行う

二つ目は、取得した不動産・有価証券等の名義変更を行うことです。

相続により所有者が変更になった場合は、必ず登記をしてください。

現在、相続登記が義務となっておらず、真の所有者が誰かわからず放置されている不動産が多々あります。

このような状況を打開すべく、2024年4月1日から相続登記が義務化されます。

相続登記をせずに放置することは、権利関係をあやふやにし、不動産トラブルの元にもなるため、2024年4月1日からは過料の対象になります。

名義変更は必ず行いましょう。

相続税の申告を行う

三つ目は、相続税の申告を行うことです。

先述の通り、相続税の申告には期限があり、被相続人の死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内に申告が必要です。

まとめ

相続が開始してからの流れは以上の通りです。

相続は期限が定められている手続きも多く、注意点も多いです。

親族が亡くなって、精神的にも疲弊している中、個人で相続手続きを終えるのはとても大変です。

場合によっては、法定相続人である親族間でトラブルが生じてしまうこともあります。

そこで、相続手続きを行うときは、弁護士に相談することをお勧めします。

弁護士が介入することで、面倒な手続きの代行を頼めるほか、後々トラブルが生じないような遺産分割方法を検討してくれます。

【監修者】:弁護士 荒井和子
【所属事務所】弁護士法人エースパートナー法律事務所